[その1]伝統構法って? 在来工法とはどのように違うの?
 伝統構法の特徴を一言でいうと、それは柱に太い貫(ヌキ)を通すことです。縦に伸びた柱と柱をつなげるのは、金具でもそのほかの製作物でもなく、柱と同じ性質をもった木材です。意外に思うかもしれませんが、その貫によって柱が曲げ耐力を持ち、地震や風などの横からの力に抵抗します。

 すべての柱が互いの抵抗要素となり、建物に対する大きな力を分散させる機能を持つのです。また、土壁が外からの力を吸収し、小さな地震には土壁の剛力が、大きな地震では土壁が崩れることで、地震に耐える力を持ちます。

 最後は柱を貫通する「貫」によって建物の崩壊を防止します。つまり、伝統構法は、「貫」と「土壁」の組み合わせで外力を分散・吸収させ、外力に抵抗する建築方法といえます。
 在来工法は筋交い(耐力壁)を抵抗要素と考えればよいので構造計算がはやく確立しましたが、すべての柱が抵抗要素で柱を貫が通る構造体が複雑な伝統構法は構造計算がなかなか確立しませんでした。

 また明治維新以後、国家は近代化を急速に進めるためにも西欧文化を積極的に取り入れてきました。そのひとつが建築様式です。西欧では建物の水平力に対抗する抵抗要素は「壁」でしたので、日本の伝統的な寺院や仏閣などは、壁がほとんど見当たらないため、伝統構法は遅れたものとみなしてしまいました。


 近年ようやくコンピュータによる分析技術も向上し、実験装置も著しく進歩してきて、やっと伝統構法の構造を分析することができるようになりました。
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