[その2]建築基準法の問題点
昭和25年に「建築基準法及び同法施行令」が施行され、以後この施行令において、木造建築を建てる基準が示されました。

 政府は戦災で多くの住宅を失ったことに加え、多くの海外からの引き上げ者を受け入れる為には、どうしても急いで大量に安い住宅を建てる必要があり、戦争で多くの人材も失っていたため優れた大工や職人も足りないと考えました。

 そこで技術がなくても簡単に施工することができて、簡易に一応の安全を確保できる住宅の建設のために建築基準法と施工令を急いで取り纏めました。

 伝統構法の主要な構造要素が柱と柱の間にある「貫」ですが、「建築基準法及び同法施行令」では、この「貫」の必要性を評価しませんでした。土壁の評価が低くし筋違による耐力壁を設ける構法を義務付けました。建築物が寺社か住宅か、また建築に携わる大工棟梁の技術や技能の差も考慮することなく、一括して筋違いを用いることを決めました。

 その為、低レベルの建築を防止するために定められ、技術的に最低限必要な守るべき基準となるべき基準が、逆に、伝統構法を担う高度な技術を持っている大工たちに、低い技術での建築を強制することになってしまいました。

 さらに、この建築基準は住宅金融公庫の融資条件にもなりました。大工たちは金融公庫を活用するためにこの施行令に従わずにはおれなくなりました。

一方、建築現場などで柱と柱の間に斜めに走った「筋違(スジカイ)」を見たことがある方もいらっしゃるかと思いますが、この筋違を構造部分に使うのが在来工法の特徴です。横の力に対抗するのは筋違の入った壁だけとなり、大きな力がかかるような地震や災害時には建物が持たず倒壊の危険が高いです。

 また、柱に多くの貫を貫通させる伝統構法と異なり、一箇所に力が集中してしまう筋違の接合は多くの場合、補強の役目も兼ねた金物が必要です。補強の金物は見苦しいので隠すことが多く、構造上重要な箇所の腐朽や劣化を発見しにくい原因ともなっています

戦後急いで取り纏めたが故に地震の被害のたびに取り繕う基準となりました。


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