[その3]近年の実験から新しい計算法が認められた話
 近年伝統構法の構造特性を見直す研究が進んでいます。特に、阪神・淡路震災以降は文化財建造物の保存修理や既存木造建築物に対する耐震性能の確保や向上の必要性が認識され、それらの建築物の、耐震性能を評価する手法確立への取り組みが始められました。

 そして平成12年、金物や筋違などを用いなくとも安全性の確認がおこなえる方法として、限界耐力計算による耐震設計法が決められました。ただ、これらの設計法は理論が難しく実験データが少ないため、伝統構法のすべてを網羅するものではありません。というのも、木造建築の教育を受けない者が、これらの理論を研究・考査する側なため、現場で活用する知識や構造図を描く技術がなかったことがその理由にあげられます。

 しかし、この計算法により合法的に伝統構法を実践できることとなり、この数年は伝統構法の実績は各地で増えてきました。実績が増えたことで技術を持つ大工たちも計算法を学び身につける機運が始まっています。鳥取西部地震や中越地震で伝統構法の家に住んでいた方の亡くなられた方がほとんど無かったことから、大学研究者も伝統構法の粘り強さに関心を持ち研究も進み始め、科学的な実証データが増えることで伝統構法の安全性はさらに確かなものになります。社会の認知が広がれば「伝統構法の復活」といえる流れになると確信していますし、それが日本の建築文化のさらなる醸成になると願っています。
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